カーセキュリティ情報(2000-9-10更新)
目次
カーセキュリティ掲.示.板
1.カーセキュリティシステムとは
最近は日本でもカーセキュリティシステムがかなり普及してはいますが、まだ存在すら知らない人もいるかもしれません。これは簡単に言ってしまえば車の盗難やいたずらを防ぐもので、自動車盗難防止装置とか自動車盗難警報装置、カーアラーム等とも呼ばれます。
治安の悪いアメリカではカーセキュリティシステムは広く普及しており、スーパーの駐車場等で誤動作して警報が鳴っているのを聞くのは日常的です。日本でも最近は車上荒しや車の盗難が増えているようでカーセキュリティシステムが必要な時代になりつつあるようです。いやな話ですが・・・・
カーセキュリティシステムの原始的な物としては車の盗難を防ぐためのハンドルをロックする棒やホイールのロックナット等の機械的な物がありますが、ここでは電子的なシステムについて紹介します。
2.何を防ぐか?
大きくは2種類に分けて考えるのがいいでしょう、車自体の盗難とそれ以外です。細かく書くと次のようになります。
- 車自体の盗難
- それ以外
- 車載品の盗難
- ボディに対する傷つけ(当て逃げを含む)
- ホイールの盗難
ここでは車自体の盗難を防ぐものを「盗難防止装置」、それ以外を「盗難警報装置」と呼ぶことにします。このように製品を分けるのは一般的ではないかもしれませんが、装置の目的を明確化するためにあえてこのようにします。
3.どのように防ぐか?
3−1.車自体の盗難を防ぐ(盗難防止装置)
ともかく車を動かないようにします。代表的なのは
- 電気的にエンジンがかからなくする。
- 燃料ポンプを止めてしまう。
などですが他にも色々と考えられます。このような機能を持った装置をイモビライザーと呼びます。一口にイモビライザーと言っても自動車メーカーが最初から組み込んでいる物や後付けのイモビライズ機能のみの物、そして盗難警報装置と一緒になっているものなど色々なタイプがあります。また、最初はエンジンがかかるけど、ある程度走ったところで車を止めてしまうというのも有効でしょう。道の真中で止まってしまえば犯人は配線をいじるゆとりはありませんから。また、極端な方法としては車高を地面まで落としてしまうなどという方法もあるそうです。
ちなみにこのような処置をするとリモコンエンジンスタータやターボタイマーとは非常に相性が悪くなります。従って、セキュリティ装置の中にはリモコンエンジンスタートやターボタイマー機能が付属してセキュリティと連携して動くようになっている物もあります。
なお、「車に入れないようにする」という対策も考えられますが、これは相手がプロでは完全に防ぐのは無理と考えた方がいいでしょう。窓ガラスを割るだけで簡単に車に入ることはできますから。ある程度は防ぐ方法については「車自体の盗難以外を防ぐ」の方で記述します。
3−2.車自体の盗難以外を防ぐ(盗難警報装置)
基本的には誰かに通報することにより、犯人を撃退します。従って、車の近くに犯人以外に誰かがいなければ(いる可能性がなければ)効果はあまり期待できません。
3−2−1.どのように知らせるか?
以下のような方法があります。
- 音で知らせる
大音響のサイレンで周囲の注意を引きつけ犯行の続行を阻止します。もちろん、持ち主に音が聞こえるのが一番ですが、誰かがいれば警察に連絡してくれるかも知れませんし、誰かに聞こえている可能性があれば犯人も犯行を継続するのは躊躇することを少しは期待できます。
この方法は盗難警報装置としては一般的ですが、日本の住宅事情では誤動作で近所迷惑になったりするので使いにくい面もあります。一応、近所迷惑防止のために、まずは比較的小さな警告音で犯人に警告し、それでも犯行を継続すれと大音響のサイレンが鳴るというようなシステムが多いです。また、警告は音声で行うシステムもあります。
- 光で知らせる
ストロボ光やヘッドライトで周囲の注意を引きつけ犯行の続行を阻止します。 音に比べると地味な方法ですが、誤動作時の迷惑は心配する必要がありません。また、犯人に対してカーセキュリティが付いていることを認識させて犯行の継続を諦めさせる効果もあります。
- 無線で持ち主に連絡する
特定小電力の無線で子機(ポケベルとかページャと呼ばれているが電話は使わない)に連絡します。大音響を必要としないので日本でも使い易いですが電波の届く範囲はせいぜい数百mで条件によってはもっと短くなるのが欠点です。また、実際に警報が届いて車に行ったら犯人が居た、なんていう場合の対処は悩ましいものです。
- 携帯電話、PHSで持ち主に連絡する
無線より確実ですが、通信費用が発生するのが難点です。基本料金に関しては最近はプリペイド式で使わなければ基本料はかからない契約方式もあるようですが、有効期間は各社まちまちなので電話会社を選ぶ際には慎重に検討した方がいいでしょう。なお、携帯電話の通信を妨害する装置は1万円程度で購入できますので、犯人がこれを使う可能性は十分に考えられます。
3−2−2.何を検出するか
次に、犯行を検出するには方法を説明します。これも様々な方法がありますが、確実に犯行とそれ意外を区別する方法はありません。自分の使用環境を考えて適した物を選ぶしかありません。
- 衝撃/音
最も一般的な物です。ショックセンサーとも呼ばれていますが、実際にはボディを叩く等の衝撃によって発生する音を検出しているみたいです。センサーにはピエゾ式、電磁式、光学式等様々な物があってそれぞれ特性に違いがあるようですが、詳しいことは正直なところ私にもよく分かっていません。
いずれにせよ音に反応するのでトラックの走行、航空機、爆音バイク/車、雷、等々さらには猫が車の上を歩いたりすることによる誤動作は完全には避けるのは困難です。また、当然のことながらボディに対する傷つけは事前に検出することはできません。
- ドア開け
殆どの車にはドアを開けるとルームランプがつくようになっているので、この機構を利用してドア開けを検出します。これは誤動作はまずないですが、窓を割って車内に侵入されたら無力です。またオープンカーでは無意味です:-P
- 電圧変動
エンジンをかける際には電流が流れてバッテリーの電圧が降下します。他にもドアを開けてルームランプがつけば電圧降下します。これらを検出します。ただし、これもリモコンエンジンスタータやターボ車のタイマーとは相性が悪い場合がありますし、エンジンコントロールユニットやカーナビの消費する電流に反応して誤動作することもあります。なお、機種によっては「電流センサー」と書いてありますが、実際は電圧を監視しているものと思われます。
- 超音波
車内に超音波を出し、その反射状況を監視して変化を検出します。車内で何かが動けば確実に検出できるし、車内に虫がいたり窓が開いていたりしなければまず誤動作はしません。車内への侵入に対しては信頼性の高いな方式ですがボディに対する傷つけには殆ど無力です。他の欠点は電流消費が大きいこととオープンカーでは使えないことかな。なお、超音波の発信源が車の振動で揺れるような取り付け方をしてあれば、大きな振動の検出には使えます。
- レーダー
電波を出して車に近づく人を検出します。この中では唯一ボディへの傷つけを未然に防げる方法ですが、使える場所は個人のガレージのように普段は人が近づかない所に限られてしまいます。また、消費電流も大きくなります。
- 平衡
ホイールを盗む際のジャッキアップを車の傾きから検出します。単に水平を検出する物だと平らな所に停まった時しか使えませんが、変位を検出する物ならどこでも使えます。ただ、こういう情報がカタログ等から読み取れないことが多いのが困りものです。
- 赤外線
人体から出る赤外線の動きを検出します。人検出にはよく使われる方法ですが、カーセキュリティシステムではあまり使われていません。
4.動作の解除/開始は?
さてセキュリティを動作させたら持ち主はどうやって車に乗り、エンジンをかけるのでしょう?
4−1.盗難警報装置の場合
何しろドアを開ければ警報が鳴ってしまうのですから、ドアを開けずに車内のシステムの動作を解除しなければなりません。そのためにキーホルダー程度の大きさのリモコンが付属するのが普通です。このリモコンからの電波や赤外線の信号でセキュリティをオフにします。セキュリティオンも同様にリモコンを用いるタイプが多いですが、エンジンを切ってから一定時間経つと自動的にセキュリティオンになるシステムもあります。
なお、簡易型以外の多くの製品ではセキュリティ動作とドアロックは連動しておりドアロックと同時にセキュリティオン、アンロックと同時にセキュリティオフとなり余分な操作は必要なくなっています。また、製品によってはオン/オフ以外のボタンがリモコンに幾つか付いていて前述のリモコンエンジンスタータのような付加機能をコントロールできるようになっているものもあります。
4−2.盗難防止装置の場合
盗難警報装置と一体になっている場合にはやはりリモコンで操作します。イモビライズ機能のみの場合はもっと簡単になっていて何も操作しなくてもいいのが一般的です。ただし、キーホルダーもしくはキー自体に電子回路が入っていて非常に弱い電波に乗せて暗証番号(ID)を発信します。このIDが盗難防止装置の物と一致すればエンジンがかけられるようになっています。このような製品をトランスポンダーイモビライザーと呼びます。ちなみに、キーもしくはキーホルダーの電子回路の電源は車側から電波で供給されるので電池等は不要です。
この方式の弱点はオリジナルのキーを盗まれたらどうしようもないことです。その欠点を解消するために最近では指紋照合をするシステムなども開発されていますがまだあまり普及はしていません。
5.製品の分類(1999-5-13追加)
以下のよう分類出来ると思います。
- 工事不要型
シガーライターから電源を取るタイプです。殆どの車ではシガーライターはキーを抜くと電気がこなくなりますので、内部に充電池を持っていて走行中は充電して駐車中に動作するようになっています。このため長時間車を使わないことがある人には向きません。また、充電池ではなく乾電池で動かすものあります。いずれにせよ簡易型なので多くを期待することはできません。
- 2ワイヤー型
一体型で車のバッテリーに直結するタイプでボンネット内に取り付けます。配線は簡単で素人でも可能ですが、スピーカーと一体のため本体が大きくなり、取り付け位置が限定されてきます。このため、感度や誤動作の点では不利になることがあります。
センサーは振動と電圧変動が一般的です。ドア開はルームランプ点燈による電圧変動で検出することになりますが、検出できない場合もあります。なお、ブルドッグ社の製品はアースは車体に取るため1ワイヤーになっています。
- 多機能一体型
2ワイヤー型にドア開検出、灯火連動等の機能を追加した物です。配線は付加される機能に応じて面倒になります。私見ですが、このタイプは価格的には次のセパレートタイプより安いものの、取り付け場所が限定されることを考えるとセパレートタイプの方が扱い易くていいと思います。
- セパレート型
本体とスピーカーやセンサーが分離されたものです。ドアロック連動やリモートエンジンスタート、ページャといった様々なオプションが使えるのはこのタイプです。また、センサーも色々と追加できる場合があります。
取り付けはスピーカーをボンネット内に付ける他は本体は室内におくことができますし、センサーも本体の外付けならもどこにでも取り付けることができます。
6.具体的な製品は?
国内で販売されている物でも結構な種類があります。また、海外となるといったい幾つあるのやら・・・。それらをこちらにまとめてみました。まだまだ不備だらけですが少しずつ改善できればと思っています。長〜い目で優しく見守ってやってくださいませ。
7.誤動作(失報)対策
盗難警報装置での最大の問題は誤動作と言っても過言ではないでしょう。特に振動/音による検出では深刻な問題です。対策としては以下のようなものがあります。ちなみに、セキュリティ業界では「誤動作」とは呼ばず「失報」と呼ぶのがただしいのだそうです。
- 感度調整
大抵のシステムには付いている機能です。当然のごとく感度を落とせば誤動作は減ります。しかし、地震や猫でも動作しないようにすれば本当に車が狙われた時にも反応しなくなる可能性があり、単純に感度設定だけで解決できる問題ではありません。
- フィルタリング
高度な方法としては振動/音を電子的にフィルタ処理して車が狙われたのか単なる外乱なのかを判別するものがあります。バーネンジャパンではセンサとフィルタリングの組み合わせで誤動作を心配しなくて済むレベルを達成していると言っています。また、くりフォードにもDSP内蔵の製品があります。確かに理論的には効果のある方法ですが、実際にどこまで効果があるかは私自身は実際にはチェックしていません。
- 学習(1999-5-13追加)
クリフォードのシステムには学習効果があって誤動作を減らせるそうです。具体的には、、、英語で書いてあるのでよくわかりませ〜ん。しかも、AG4ではショックセンサーはオプションになったところをみるとあまり効果は無かったのかも。他にホーネットにも「迷惑防止機能」というのが付いている機種があるそうです。
- 2段警報
誤動作そのものを減らす方法ではありませんが、迷惑の軽減には役立つ方法です。多くのシステムで採用されており、小さな振動/音では警告音として比較的小さな音を鳴らし、それが継続したり大きな振動/音があった場合にはサイレンが鳴ります。
8.抜け道
カーセキュリティシステムにもセキュリティホールはあります。盗みのプロはその辺を熟知している筈で完全防犯は不可能です。あまり詳しい方法は公には書けませんが(本当は知らないだけ(^^;)、下手なシステムだと解除の為に電装系を壊されて却って出費が嵩む場合もあるようです。まぁ、それでも無いよりは有った方がいいのがカーセキュリティシステムでしょう。
9.情報源
車雑誌(特にクロカン4WD系)やその別冊、そしてカーオーディオ関係の雑誌にカーセキュリティシステムの記事や広告が出ています。そして、言うまでもなくインターネット。製品関係以外のリンクをこちらにまとめてみました。私の掲.示.板にも皆さんのおかげで色々な情報が集まっています。他にニフティサーブのFCARAVというフォーラムでもカーセキュリティを扱っています。'90年代はここが一番の情報源でしたが、今は衰退気味だし@Niftyの会員しかアクセスできないという欠点もあります。
取り付けの超基礎知識(2000-5-12追加)
こちらにDIYを考えている入門者向けの基礎知識をまとめてみました。
私のシステム(1999-5-20更新)
履歴や私の考えをこちらにまとめています。詳しいことは書いていませんが、暇があったら見てやってください。
恐れ多くもセレクションガイドを書いてみました。あまり信用して欲しくはないけど、少しくらい参考になれば嬉しいです。
カーセキュリティ関係の掲.示.板を作ってみました。メッセージを残していただければ幸いです。(「掲.示.板」にピリオドが入っているのは検索エンジン除けです。関係ない宣伝やいやがらせを載せる困ったちゃんがいるもので・・・・)
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